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長沼範夫師お別れ会

2月12日に長沼先生のお別れの会がありました。先生がお亡くなりになったのは昨年末12月31日だったそうです。57歳でした。

お別れ会は矢来能楽堂で、一門の能楽師の方々と生徒の皆様方が集まられました。

私が先生に師事したのは、っていうか師事というのもちょっとおこがましくて、月1回の週末クラスで、平成21年秋から23年2月頃まで、1年半で回数にしたらたった12~3回程度・・・
能を観てはいても、寝てばっかりで知識は一向に深まらず、何かしてみようとお仕舞いを習ってみることにしたのです。紅葉狩、そして鶴亀。1年たってやっぱり謡が基本かも、と思いお仕舞いに加えて謡も。橋弁慶でした。
伝統芸能の世界は厳しそうで、芸を極める気持ちはさっぱりない、単になんとなく知ってみたいというくらいの私が、1年あまり通えたのは、長沼先生がすてきだったからです。常に穏やかで礼儀正しく、そのうえ温かみがあり、どこか浮世離れした学求の人、のように見える方でした。先生にお会いするのが何よりも楽しみなおけいこでした。

22年の秋に入院されて以降体調はよろしくないようでした。腕があがらないから、月1回のお仕舞いのおけいこはおやめになる、とのことでした。謡はどうにもさっぱりできなかった私は、ちょうど仕事で異動もあり、おけいこをやめてしまいました。

先生は昨年10月まで朝陽会のおけいこを続けておられたそうです。そして12月末に亡くなられました。
ALSだったそうです。告知も受け、胃ろうも人工呼吸器もつけず、ご自身で選択された寿命でした。

おけいこの師としてこの上なく尊敬していた先生でしたが、結局一度もシテを舞う先生を観る機会には恵まれませんでした。
今さらですが、もっと関わっていたかった。お亡くなりになり、壇上に飾られた面をつけて舞う先生のお写真を拝見し、残念でなりません。

ほんの短い関わりでしたが、長沼先生、ありがとうございました。

最後に一門の方々が江口を謡ってお別れをしました。その場に立ち会えたことを感謝しました。

深く深くご冥福をお祈りいたします。

by panda-korokoro | 2012-02-12 20:32 | 着物で能・狂言